忍者ブログ
碧の病院観察日記
菜月アキと皇桜華の観察日記
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

しばらく顔見せなくてごめんねーー!ほら久々、お土産の手乗り地蔵だよー!

なんて言いながらいつものように病室のドアを開いて、いつものように規則破りのおやつを頬張るあの子がいて。
笑顔で迎えてくれるはずだったんだ。

「―――ー」

空のベッドと畳まれた白い布団。
風を吸い込む開け放たれた窓と揺れるカーテン。
キュと、足が扉口で止まった。無人の部屋はひんやりとして、来るはずの無い来訪者を拒絶する。

笑みを作ろうと不自然に引きつった口角が元の位置に戻らないのを感じながら、無理矢理に結んで笑みを消した。
作るものじゃないや。脈絡のない哲学を頭に浮かべる傍らで、フル回転もさせる。

腕に抱えたお土産をよけ、確認した問診表の最後の日付から、今日までを数えてみた。
間抜けな包装紙を笑ってくれる人はもういなくて、左手の力を抜くと同時にカラカラと鳴る音がやけに遠く聞こえた。

「…そ、か」

うん、元気になったなら、良かった。

『楽しいこととか、嬉しいこととか、全部ぜんぶ変わらずにはおれんけどさー』
『次の楽しいこととか嬉しいことを待ってればいいんだよ』
『そしたらなづっちゃん、ずっとニコニコしてるっしょー』

だから、寂しいなんて言っちゃだめだよ、お医者さん。


いつだったか、あの子はそうやって言って、にへって笑ったんだ。


いつのまにか閉まっていたドアを後ろ手のまま引く。
自分の影と病棟の外の木陰が、夕日で細く映し出される。

脳がその場に置き去りにされる感覚。
どんっと背中にぶつかったのは、いくつかの衝撃と体温だった。



「おかえりなづっちゃーん!!」
「「おかえりおかあさーんっ!!」」


茶色い猫ッ毛頭が二つと、結ばれた癖のある黒髪。
首だけ振り返って背中越しに見えたのは、大好きな子たちで、




ぐわしっ、と掴んだのは手乗り地蔵。
碧の街の夕方に響いたのはカラスと、あほの4人の笑い声。


*******

「はい、ごめんなさいは?」

とりま、双子と桜華ちゃんの3人を隣の病室―本来の桜華ちゃんの病室―のベッドの上に正座させること30分。
「ご、めんなさい・・・」
「騙されたのそっちじゃん」
「しゅぅっ・・・!」

ごちむ。

「ーーーっっっ」
「大丈夫、愛がこもってるから」
なんてにっこり笑顔なら任せて。伊達に社会人やってないわ。
こいつら、空き部屋と桜華ちゃんの部屋のナンバープレート入れ替えやがったのよほほほ・・・!!

「ごめんてなづっちゃー・・・」
秘技、桜華の上目遣い。やられてたまるかこんちくしょう。


「知らない。しばらく問診藤堂先生に代わってもーらぉ」

それぐらいしないとね、気がすまないし。
・・・寂しいとか思っちゃったのも悔しいし、おんなじ思いすればいいんだわ。
そしたらまた内緒でおやつ持ってきて会いに来てあげれるんだから。

ふん。
PR
いいじゃんもーじゃんセンチメンタルジャーニーなんだよっ!!
ってなづっちゃんに言ったらお見舞いに来てくれてた冬君に「それってなんか違わない…?」ってつっこまれた

ごちむ

…今のは私がなづっちゃんにしばかれた音
とにかく叫ぶ前に風邪治しに集中なさいだってさー
なづっちゃんがぷりぷりでていくのを見送って

そいや冬君どしたの?

なんだか進路に迷ってるみたい
ほにゃーもうそんな年なんだねー…
時がたつのは早いねとかいったら桜華ちゃんの方が僕より若いでしょって笑われちゃった

そっか春はいろんなものの始まりだもんね
1分1秒も無駄にはできないね(苦笑)

出会いと別れ
始まりと終わり
新たと古し
暖かさと寒さ
明るさと暗さ
風と雪

いろんなものが移り変わってようやく春がくる
ちょっと気の早い桜が満開になってるのをみながら私と冬君は少し笑った
あらあら
まぁまぁ

桜華ちゃんがなにやらローテンションじゃない。
手乗り地蔵を眺めてはため息ばかり。
そんなへこまないの。
人生いろいろあるんだから。
センチメンタルな季節ですもの。それが過ぎれば、たくさん笑えるようになるからね。

春風邪が流行ってるみたい。
三寒四温でリズム崩すからかしら。
ナースステーションでもマスクは必需品になりつつあるし。
そういえばあたしって看護士なの?医者なの?
検診・・・診察・・・??
悩んでたら、パステルイエローの奇ばt・・・珍しいマスクした藤堂先生を遠くに発見☆
変なマスク。。笑
そうか、彼女は先生なのね、女医なのね。
あたしは看護士でナースか、ふむ、納得。

いまさら何をって声が夏彦からこぼれてきたから殴ってみた。
ごちむ。
時々忙しくてわからなくなるんだもの。
そっちこそ、冬也の進路はどうするのー?

なんてね。
時々相談役にもなる看護士さんなのでした。
笑われちゃわないように今を必死で生きてる
人はぶつかることもあってそれで泣いちゃうこともあって
窓から入ってきた桜の花びらを握りしめながら久しぶりにベッドの上で外を眺めてた

薬剤師のユウヒちゃんが薬を持ってきてくれて
ついでにお見舞いのアーモンドをおいていってくれた
春先の軽い風邪
春秋コンビがポカリ片手にお見舞いにきてくれた
風邪はこれだって冬くんがいってたんだって(笑)

明々後日は藤堂先生が戻ってくるみたいだから朝一に検診
アケちゃん先生はなんだか遅い冬休みだか、早い春休みだかでお休み中みたい(笑)
なづっちゃんは新規の患者さんの担当が増えたみたいでばたばたしてる
幸ちゃん先生のデスクの準備もちゃくちゃくと進んでるみたい

微熱がくずぶってる体温計をじめっと見つめてから
また外を眺めてた
雲がソフトクリームだったり亀だったり
そうだ今度由羽さんにソフトクリーム撮ってきてもらおう、SEIさんつきで(笑)

風邪が治ったらまずはなづっちゃんとこに行かなきゃね


もしくは、空を手のひらに。
なんてね。
春の窓辺に詩人を気取ってたら、薬剤師のユウヒちゃんに笑われちゃったわ。

今日は春の人事異動でちょっとドタバタ。
時々しか会えなかった先生がこっちに来ることになった。
ふふ、ちょう可愛いの、幸村センセv
こっちから移動しちゃう先生はいなくて良かった。寂しい思いは嫌だもの。
サボったと噂の藤堂先生は明後日ウチに呼び出し。
一緒に今後の碧の病院について語ろうかしら。

藤堂先生の別宅に住む某二人とかがウチの病院に診察に来たら、どんだけ楽しいことでしょう!!
グッとガッツポーズしてたら、てろんてろんと歩く桜華ちゃんを発見。
新作の人形焼を献上。美味しい?

桜が咲きそうなくらい、ぽかぽかしてる。
病院の近くをふらふらしてた双子を捕まえて、中庭を一緒に散歩してきた。
どうしてそんなに仲いいの?喧嘩とかしないの?
嫌にならない?この先どうするの?
質問攻めしてたら、笑われちゃった。

アキちゃん冬也みたい、だって。

・・・かもね。
冬也ってこういう子だもんね。
今度は夏彦とおしゃべりしたいな。
 

さーて、浸ってる場合じゃないわ、検診検診。

忍者ブログ [PR]


Designed by A.com
Member
碧の病院。
*菜月アキ*
碧の病院勤務の看護士。
皇桜華を担当中。
いつでもどこでも逃げ出す桜華に日々悩まされ、日々地蔵を増加させる。
地蔵の入手先は秘密。

*皇桜華*
碧の病院の入院患者。
なぜかすぐ退院できるはずだったのにいまだに入院中。日々菜月看護士に怒られながら生活。
病室の前には5体の地蔵が鎮座中。
Count
アクセス解析
Calender
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30